5月18日に上映が開始された、ホラー映画のクロユリ団地観てきました。
最初に知ったのはテレビのCMだったかな。
子供の霊は呪怨を彷彿とさせ、団地という、昔は近代的として憧れの住居であり、現代では過疎化や老朽化が進み時代から取り残されている場所の組み合わせというのは、CMをみただけでかなり興味を持ち、期待を抱きました。
自宅でテレビを見る時というのは大抵親と一緒なので、一緒にCMを見ていた母親も「これは見たい」という事でいつも通り母親と観賞してきました。
↓↓以下ネタバレ感想↓↓
,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
(.___,,,... -ァァフ| あ…ありのまま 今 観た映画の事を話すぜ!
|i i| }! }} //|
|l、{ j} /,,ィ//| 『おれはホラー映画を観に来たと
i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ 思ったら社会派ギャグ映画だった』
|リ u' } ,ノ _,!V,ハ |
/´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人 な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
/' ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ おれも何をされたのかわからなかった…
,゙ / )ヽ iLレ u' | | ヾlトハ〉
|/_/ ハ !ニ⊇ '/:} V:::::ヽ 頭がどうにかなりそうだった…
// 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
/'´r ー---ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐ \ 前田敦子の歩き方がおかしいだとか
/ // 广¨´ /' /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ 前田敦子の顔の方が怖いとか
ノ ' / ノ:::::`ー-、___/:::::// ヽ } そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::... イ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
なんというか、諸悪の根源である子供の霊以外は別にホラー要素はなく、どちらかというと心の病の方が大きかったなぁという感想。
「おっ」と思う部分も所々にあったものの、期待していたような恐怖感は全くなし。
例えるならジェットコースターに乗って、レールの上を上昇し続けてその後の恐怖と期待感をあおるだけ煽っておいて、急降下するのではなく平坦なレールになるといった感じ。
日本のホラーにあるような、いきなり出てきて驚かす、ホッとさせておいて驚かすと言ったお約束は一切ありません。
中盤、主人公の前田敦子演じる二宮明日香の前に呪い殺された老人が、苦しみ悶える姿で明日香に迫るというシーンがあるんですが、普通だったら全体的に暗くして、幽霊である老人も極力光を当てず恐怖感を演出して、いなかった筈なのに振り向いたらいる!と言った感じで出るのですが、普通に老人の身体に光を当てて細部がわかるほどに明るい状態で、しかもゆっくりと迫りくるので恐怖心はもとよりギャグですらないという、実に笑えない演出。
その後も普通だったら
ぎゃあああああああああああああああああっ!!!!
となるようなシーンはあったものの、なぜか完全にスルー。
前半は引っ越してきた筈の家族がいきなりいなくなったりと面白いんですが、中盤は正直完全につまらないです。
実は家族は数年前に事故で他界していて、その原因が自分にあると明日香が思い込んでるんですよね。
もう一人の主人公の伝手で出てくる霊媒師?祈祷師?も「霊は場所ではなく、あなたの心に憑くのです」と言っていたのですが、この作品はどうも理不尽的要素は皆無で、心に何らかの障害や隙間を抱える人が呪われるみたいです。
ここでちょっと主要登場人物の紹介をしておきましょう。
・二宮明日香
主人公。
子供の頃に「絶対に旅行に連れて行って」と父親と約束した事によって家族が事故死。自身は家族を失ったトラウマと、自分の願いにより事故死したと自責の念を抱く。
・老人(篠崎)
子供もおらず、妻も既に他界し孤独という心の隙間を抱えていたと推察。
・笹原忍
もう一人の主人公。
自分の運転する車が事故を起こした事で、婚約者を植物人間にしてしまい自責の念に囚われている。
・ミノル
今作の幽霊。諸悪の根源。
13年前に友人たちと団地内で隠れん坊をしていた際、可燃ごみの回収ボックスに隠れていた為出られなくなりそのままゴミ処理場で焼死する。
諸悪の根源である霊(=ミノル)は完全にその心の隙を突いてくるんですよね。
明日香には「家族になろう?弟になってあげる」と言って彼女の心の隙を埋めようとするし、拒絶すれば今度は事故死した家族に化けて「なぜ一人生きているのか」とお約束の精神攻撃。
忍がそれを邪魔しようとすれば、今度は忍の婚約者になって「あなたの所為でこうなった。本当に愛してくれているなら殺してくれ」と懇願。
なんというか、僕はあまりホラーは観てないのでなんとも言えないんですが、ホラーモノって基本的に理不尽だと思うんですよね。
死んだ人間が悪霊となり、呪いとなりそこに来た人間や接触した人間に取り憑いて呪い殺す。
「リング」や「呪怨」、「着信アリ」や「仄暗い水の底から」にしてみても大抵は主人公は理不尽に取憑かれ、呪われ殺されます。まあ中には興味本位で首を突っ込んだのもありますが。
一応今回のも巻き込まれ系で、更に結局理不尽な結果に終わると言えばそうなんですが、どちらかというと心の病を前面に出してるような気がするんですよね。
ホラー系ではあるんだけども、ホラー的要素と言えば
1.ミノルが悪霊である
2.主人公たちが呪い殺される
という2点だけで、あとはホラー映画にありがちな心臓が止まるような恐ろしいシーンは皆無です。
逆に今回の映画、ホラー映画というよりもむしろ社会的なメッセージが込められてるんじゃないかとw
1.老人の孤独死
2.過疎化と老朽化が進む団地が舞台である
3.大勢の人が住む団地でありながら、孤独死が続いても他の住民は我関せず
これは母親とも同じ感想ですが、少子高齢社会となった現代社会において、老人の孤独死というのは社会的な問題となっています。
更にはそういった方が大勢住んでいる集合住宅、団地の多くは老朽化や過疎化が進み、更には住民同士のコミュニケーションも減った事でますます老人の孤独死というのが問題となっています。
ぶっちゃけ老人の話は前半~中盤だけですが、見終わった時の感想が
「これから老人の孤独死が増えて訳アリ物件が増えるね。どうするんだろう」
というモノでしたw
まあ実際にそういった社会的なメッセージを意図していたのかはわかりませんがw
ちなみに「クロユリ団地」というタイトルですが、黒百合の花言葉は「呪い」であり、実際にこんな名前の団地があったら絶対に入居したくないですねw
主演が前田敦子ですが、演技に関してはぶっちゃけそこまで酷くなかったかなと。
歩き方が不自然だったり、少女時代は美少女だったのにどうしてこうなった!とかせっかくホラーな雰囲気なのに顔芸でギャグシーンに見えたり、逆に前田敦子の顔の方がホラーだよ!というのはありましたが、そこまで大根ではないと感じたので、こういう地味な役であれば充分いけるんじゃないかなと。
とりあえず長く続ければどこぞのカイリキーさんとは違ってそれなりに演技もこなせるようになるんじゃないですかね。
全体的な話としては、ホラー映画のお約束である演出が皆無な為、そういうのを期待してると終始退屈です。
勝手に受け取った社会的なメッセージ以外に関しては「あー早くおわんねーかなぁ」と上映中に感じるくらい退屈です。
終盤も、ミノルを拒絶していた明日香が忍が殺されそうになるのを見てミノルを受け入れようとするシーンで「これは仄暗いENDか」と落胆。
しかしながらここからが本番でした。
ミノルを抱きしめて仄暗い水の底からよろしく一緒にどこかに消えるのかと思いきや、忍がまさかの復活を遂げミノルにタックル。
元国民的アイドルとの抱擁を邪魔されたミノルは怒り心頭(※違います
そのまま忍に抱き付き部屋の床にズブズブと沈んでいきます!床に!
そしてそのまま忍はミノルが焼死したと思われる焼却場に出現。
焼却が始まりそのまま炎に包まれてフェードアウト。
もうね、いきなり床に飲み込まれていくトンデモシーンな上になんか背景が明るくカラフルなのも相まってシュールです。正直笑いをこらえるのに必死でした。
更に焼却場の壁に半ナマのミノルが吊るされてるのも訳がわからず大爆笑。
そこが実際の焼却場なのか、ミノルが作り出した空間なのかはわかりませんが、生焼け状態のミノルがぶら下がってるあたり後者でしょう(笑)
最終的に、床に飲み込まれていくという訳の分からないシーンを目撃した明日香は発狂。
例えるならシロッコに魂を持っていかれたカミーユ……ではなく、辛いことがありすぎて記憶が幸せだった頃まで後退した風間シンのような廃人になって終了。
老人の孤独死に始まりストレスによる若者の精神崩壊まで描くとは、中々の社会派映画だなと(笑)
途中非常に退屈な映画ではありましたが、ホラー映画ではなく社会的な問題提起がされている作品だとか、そのほか色々とツッコミどころ満載なのでそこを突く観方をすれば楽しめる作品じゃないかなと思います。
何度も書きますが、通常のJホラーにありがちな「暗い部屋」「奇襲」というのはほぼありません。
通常のホラー映画として期待すると間違いなくハズレです。
唯一踏襲してる点と言えば、「ホラーとは冷静に見ればギャグである」という点ですかねw
あとは純粋に呪いとしてみれば楽しめるかもしれません。
個人的には久しぶりに映画館で爆笑したので最終的には満足できましたw