「これ、アニメ化する意味あったのかな」
という作品は、まあそれこそ星の数ほどあると思いますが、とりあえず横鎮提督としては非常に残念な出来のアニメでした。
とにかく、シナリオが雑です。
物語には色々とあります。
例えば、「視聴者が見て、考えることで製作者側の主張や意思を読み取っていくアニメ」とか「何も考えずただキャラクターの可愛さを楽しんでいればいいアニメ」ですね。
前者は例えばガンダムが挙げられますが、前期から続いている「Gのレコンギスタ」に関しては久しぶりに後者でも充分楽しめる作品だと思います。この場合、キャラの可愛さではなく戦闘シーンのカッコよさとか、キャラの魅力や台詞回しだけで、ストーリーがチンプンカンプンでもとりあえず「かっけー!」「流石禿御大!」と思考停止させても充分楽しめています。
富野監督が最初に「子供向けのアニメ」みたいな事を言っていたのは、恐らく「大人みたいに色々と思考を巡らせて難しく考えて楽しむ作品」ではなくて、単純に「その場のノリと勢いで楽しめる作品」だったのではないかと考えています。
さて、艦これアニメはどうだったでしょうか。
路線としては日常系アニメと戦闘系アニメのいいとこどり……を目指したのかもしれませんが、どっちつかずの中途半端な出来具合になってしまっています。
ストーリーラインも、正直何がしたかったのかよくわかりません。
「原作にストーリーがないから」という人もいるかもしれませんが、そもそも艦これの原点は先の大戦ですし、明らかに史実に沿って展開されてたのは3話くらいで分かったと思います。
物語の大まかな流れは最初からあったのだから、そこから何をどう見せたいのかをもっと丁寧に描いて欲しかったですね。
結局、吹雪が選ばれたのは「提督がケッコンカッコカリをする夢を見たから」という理解に苦しむ理由でしたし、最終話直前になっていきなり「前世の記憶」「歴史の修正力」みたいな事を語られても、唐突過ぎて何が何やらと言った感じです。
他にも、艦娘の種類と数はそれなりに用意できているのに、対空警戒もろくにせず、任務目標を勘違いしたまま本来の目標である敵機動部隊に奇襲を受けるなど、正直挙げると限が無いです。
要所要所でフラグ乱立や、最後のご都合主義も無理やりすぎて観るに堪えなかったですね。
肝心の戦闘シーンも、当初の懸念通り水上スケートでただ移動しながら中距離で撃ちあっているだけ。
最終話で長門が格闘戦をしながら零距離射撃をしていましたが、ああいうのをもっとやってもらえれば見応えがあったんですけどね。
戦闘シーンに関しては放送前の懸念通りに終わりました。
艦これアニメ、本当にいったい何がしたかったんでしょうか。
日常系と戦闘系のどっち付かずといい、滅茶苦茶なストーリーラインとご都合主義の乱発、細かく書いていけば殆どが旧軍と同じ過ちを繰り返してると思うんですけど、何もそこまで忠実に再現しなくてもよかったのでは……。
ガンダムで例えるなら、最初「ガンダムSEED Destiny」かなと思いました。
糞みたいなストーリーラインと、糞みたいな登場人物。あのシーンであのキャラがマトモなキャラでああいう行動を取っていれば、もっと楽しめたのに。と10年経っても叩かれネタとして愛される作品。
ですが、改めて考えて例えると、種死ではなくて「ガンダムAGE」の方ですねコレ。
同じく糞みたいなストーリーラインで、登場人物もアレ気なのが多いですが、唯一の違いは「ネタにもされない」ということ。
艦これアニメも「ああすればよかった」というのは6話以外殆どのケースでありますが、正直ネタにも出来ないレベル。
何やら続編の制作が既に決定してるみたいですけど、同じ制作陣が作るのであれば正直期待するだけ無駄ですね。
轟沈云々以前に、路線そのものが間違っていたと断言できると思います。